日本脳炎について - 2008年08月20日公開
2008年7月25日に厚労省の専門家による検討会にて、日本脳炎の定期接種について議論が行われました。
その結果、日本脳炎の予防にはワクチン接種は欠かせないとしたものの、新ワクチン供給後のスケジュールについては結論が出ず、10月以降に持ち越されております。
ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、日本脳炎について改めておさらいしてみたいと思います。
【日本脳炎とは】
感染症法における第四類感染症とされており、日本脳炎ウィルスに感染したコガタアカイエカに
刺されることで感染する脳炎でです。
(厳密に言うと、ウィルスに感染した豚の血を吸ったコガタアカイエカに刺されると感染します。)
【発症率】
上記のとおり、蚊に刺されることで感染しますが、脳炎の発症率は100~1000人に1人
とされており、そのうち20~40%の方が死亡します。
また、生存したとしても、約半数は神経系の後遺症を残す可能性があるという恐ろしい
病気です。
特効薬も存在しません。
【日本脳炎の積極的勧奨差し控えから現在に至るまで】
現在でも、中国、ネパール、ベトナム、タイといった、東アジア、南アジアを中心に、
世界的には3~4万人ほどの日本脳炎患者の報告があります。
日本では1960年代には1000人以上の報告があったものの、予防接種の普及に伴い、
1992年以降は10人未満にまで激減しました。
この事実を見ても、予防接種は非常に効果的だったと考えられます。
しかし、2005年5月に日本脳炎ワクチンを接種した後にADEM(急性散在性脳脊髄炎)が
発生し、厚労省が日本脳炎ワクチンとADEMとの因果関係を事実上認めたため、
同月30日付けで厚生労働省健康局結核感染症課長が「現行ワクチンでの積極的勧奨の
差し控えの勧告」を各都道府県に通知し、一斉に日本脳炎ワクチン接種の一時中止を
決めました。
当初は、2006年の夏頃に新ワクチンの接種再開を予定していましたが、副反応がある
とのことで延期され、同2006年9月には熊本で幼児としては15年ぶりに日本脳炎の発症
が報告されました。
そして、現在に至るまで事実上の日本脳炎ワクチン接種中止は継続されたままとなって
おります。
「事実上の日本脳炎ワクチン接種中止」と記載したのは、両親の希望があれば接種できる
からですが、様々な同意書等を記載する必要があり、あまり自ら受けようという気持ちに
ならないような仕組みであることは確かです。
また、同検討会にて来年供給予定の七十万本でワクチンの在庫が終了することも報告され
ていますので、このままでは接種自体が出来なくなります。
【所感】
日本脳炎のワクチン接種については、厚労省としてはあくまでも中止とはしておらず、
積極的勧奨差し控えを行っているにすぎません。
また、厚労省は・・・・
「定期の予防接種対象者のうち日本脳炎に感染するおそれが高いと認められる者等
その保護者が日本脳炎に係る予防接種を受けさせることを特に希望する場合において
市町村は、当該保護者に対して、予防接種法(昭和23年法律第68号)第3条第1項の
規定により、定期の予防接種を行わないこととすることはできないので、その旨留意
すること。(以下略)」
とも発表しています。
従って、希望すれば接種は可能ですが、あまりにも情報が少な過ぎるため、現在の
状況で普通に接種を希望する保護者の方は極めて少ないと考えられます。
かつて、百日咳成分のワクチンに副反応があるということで、三種混合が一時中止
となりましたが、その際も、改良ワクチンの生成に5年かかっており、その間百日咳の
大流行が起こり、約100名のお子さんが亡くなっています。
日本脳炎も同じような状況にならないとは決して言い切れません。
積極的勧奨の差し控えについては致し方ない対応だとしても、副反応の発症率や、
日本脳炎が発症した際の情報、今後の予定などの情報は厚労省が責任を持って、
保護者向けにアナウンスするべきではないかと、2児の父である私としては考えます。
実際、蚊に刺されないように注意しましょうとポスターは作ったようですが、
ちょっと非現実的だと感じました。
尚、日本脳炎のワクチンについては、マウス脳を媒体にするため、極々微量ながら
マウス脳の細胞が混入する可能性があり、それが副反応に繋がるとの意見も存在
するため、元々反対派の多いワクチンのようです。
ワクチンを接種して日本脳炎から身を守るのも、接種せずに副反応から身を守るのも、
保護者及び本人の判断となります。
幸い、インターネットの普及により、どちらの意見についても情報を得ることができます。
特に小さいお子さんをお持ちの方は、一度腰を据えて調べてみては如何でしょうか。
私個人としては、接種推奨派でも反対派でもありませんが、このコラムが皆様の考える
きっかけになれば幸いです。
- 担当
- 小畑 宏一郎
- 役職
- ヘルスプロモーショングループ 係長
1999年4月 入社
保健の業務知識はもちろん、システムの技術面においても厚い信頼を寄せられる。
明るくパワフルで、困っている人を放っておけない兄貴肌のリーダ。
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