新型インフルエンザについて - 2009年09月04日公開
厚生労働省は2009年8月20日に、新型インフルエンザのワクチンについて全額自己負担の「任意接種」とする方針を明らかにしました。
同日に都内で開催された「新型インフルエンザワクチンに関する意見交換会」にて、”蔓延防止”よりも”重症化防止”に力点を置く必要があるとの認識が示され、「流行防止ではないなら、基本的には任意接種になる」との説明がありました。9月中にワクチン接種の優先順位を決定して、10月中に接種を始める方針となるようです。
WHO(世界保健機関)から出された勧告では
・医療従事者(最優先)
・妊婦や慢性疾患を抱える人
・15~49歳の健康な人
など、これまでの感染状況から重症や死に至るリスクが高いとされる層をグループ分けし、各国がそれぞれの状況に応じて接種の優先順位を考慮すべきであるとしています。
また、新型インフルエンザなどの最新情報を発信している元小樽市保健所長の外岡立人氏は自身の運営するWEBサイト
鳥及び新型インフルエンザ海外直近情報集にて「感染のリスクが高いのは生後6か月~24歳までの若年層と、妊婦、重い慢性疾患を抱えた人」であるとしています。
WHO(世界保健機関)が接種の優先順位を勧告する背景には、新型インフルエンザのワクチンが世界的に供給不足となる見通しであり、特定の国にワクチンが偏って供給されないようにしたいという意図があります。ワクチンの供給量不足が予想されるのは、日本もまた例外ではありません。
そもそも日本の予防接種には、予防接種法に基づく「定期接種」と、個人の判断で接種する「任意接種」があります。
「定期接種」については予防接種法に基づき努力義務が設定されているので、同法で定められた対象者が公費助成により予防接種を行うことになります。万一健康被害が発生した場合には、同法が規定する「予防接種健康被害救済制度」により国が手厚い救済措置を行います。
「任意接種」については予防接種法の対象外となり、個人の判断で自己負担により行うものとなります。健康被害に対する補償も国が行うものではなく、独立行政法人医薬品医療機器総合機構が医薬品副作用被害救済制度に基づいて行います。この場合、訴訟問題に発展した場合は国に対する訴訟ではなく、ワクチンを製造するメーカーが相手となる可能性が高くなります。
これらの状況を鑑みた結果、以下のような問題点が考えられます。
・優先順位に基づいたワクチン接種の実施について
接種の優先順位を決定したとして、それを実行するのが個人の判断なのであれば医療現場での混乱が予想されます。
・不足が予想されるワクチンの輸入対策について
ワクチン製造メーカーに対する免責制度の整わない日本に、国外メーカーがワクチンを供給することに懸念を示した場合、ワクチンの供給が十分量行われないことが予想されます。
・新型インフルエンザ予防接種に対する費用助成について
小児の場合など、新型、季節性と併せて接種行う場合には費用負担が大きくなることが予想されます。
また、個人的には、接種の優先順位を設定するとしながら、ワクチン接種費用を自己負担する「任意接種」のままとすることに多少の疑問を感じます。
これらについては、今後さらに検討が行われて対策が実施されることを期待したいと思います。
新型インフルエンザ予防接種は10月中に開始されると言われています。
今後の厚生労働省の動きに注目していきたいと思いますが、我々は新型インフルエンザに対して正しい知識を持ち、冷静な対応を行っていくことが重要となりそうです。
- 担当
- 名渕 剛志
- 役職
- ヘルスプロモーショングループ 主任
2004年7月 入社
一見飄々としているが、熱いハートを内に秘めたプロジェクトリーダ。
システム全般の技術力が高く、メンバからの人望も厚い。
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