肺炎球菌ワクチンについて - 2009年10月26日公開
依然として新型インフルエンザが猛威を振るっており、連日メディアで新型インフルエンザワクチンの接種について取り上げられているのは周知のことかと思います。
しかし、その傍らで少しずつですが、現在注目を浴びているワクチン接種があります。それが
肺炎球菌ワクチンです。
今回のコラムでは、この肺炎球菌ワクチンについてまとめてみたいと思います。
肺炎球菌ワクチンとは、その名のとおり、肺炎を引き起こす原因の一つである肺炎球菌という菌にターゲットをしぼり、抗体を作ることを目的としたワクチンです。
肺炎を引き起こす菌は種々存在しますが、その中でも肺炎球菌は原因菌のうち上から2番目に入るメジャーな菌です。
肺炎は高齢者の方がかかりやすく、65歳以上の高齢者の死因の上位5位以内に入ることが多いため、現在では肺炎球菌ワクチン接種の対象も高齢者となっています。
しかし、平成14年(2001年)頃から行われていた肺炎球菌ワクチン接種ですが、意外と知名度が低く肺炎球菌ワクチンそのものを知らない方もいるほどです。
その理由として以下のことが考えられます。
1.肺炎球菌ワクチン接種の有効性・安全性に関する十分な調査が行われておらず、医療現場における肺炎球菌ワクチン接種の必要性などについての議論が十分に行われていなかった。
2.接種にかかる費用が健康保険適用外(※1)、かつ自由診療のため金額が医療機関によってバラバラであること。
相場は、1回6,000円~9,000円程度。
また、一部公費負担をしている自治体もあるが、全国的にはまだまだ少ない。
※1 脾臓摘出患者における肺炎球菌感染症予防には健康保険適用あり
3.1に関連して、十分な調査が行われていないことによる安全性の観点から副反応に対する不安が払拭できなかった。
こういった状況にも関わらず、近頃この肺炎球菌ワクチン接種の注目度が上がっている理由は何でしょうか?答えは、新型インフルエンザが猛威を振るっていることに起因しています。
ニュースでも言われていますが、高齢者が新型インフルエンザに感染した場合、かなりの確率で肺炎を併発し、死亡に至る可能性があります。
そのため、新型インフルエンザワクチン接種はもちろんのこと、肺炎球菌ワクチンを併用した予防が大切であり、今、大きな注目を浴びているわけです。
では、実際にワクチンを接種するにはどうすれば良いのでしょうか。
接種の時期については、特に限定はありませんので、医療機関に行けば接種可能です。
ただし、日本では法律の関係上、インフルエンザワクチン接種から1週間以上期間を空ける必要があります。
これまで、肺炎球菌ワクチンは5年でピーク時の80%まで抗体が落ちるものの、以降も抗体が残るため、一生に一度の接種で良いとされており、日本では再接種の認可が下りていませんでした。
しかし、最近の研究結果や海外では再接種が行われていることを踏まえ、平成21年10月18日に厚労省が1回目の接種から5年が経過していれば再接種を認めることを決定したばかりです。
再接種を認めると厚労省が決定したことには、大きな反響があると考えられます。
先述のとおり、ワクチン接種は基本的に自費となりますが、一部の自治体では公費負担(一部、又は全額)を行っています。
そのため、再接種可能となった場合にも公費負担を維持することができるのかという問題です。自治体によって大きく判断が分かれますが、今後の動向には我々も注目する必要があると思います。
インフルエンザワクチンと併用することで効果が出るということで注目を浴び、一部の自治体で行われている公費負担が拍車をかける形で接種率を上げてきた肺炎球菌ワクチンですが、
今回の厚労省の判断による各自治体の動き方によっては、以前のように接種そのものが鈍ってしまう可能性がないとも言えません。
肺炎球菌ワクチン接種に対する正確な情報収集、知識を持つ必要はもちろんありますが、接種対象が高齢者ということもあり、接種に伴う全てにおいて、
高齢者に分かりやすいもの、受け入れられやすいものを提供していくことが予防への近道であり、最終的に接種率を向上させていく一つの手段だと信じています。
- 担当
- 小野 薫
- 役職
- ヘルスプロモーショングループ 主任
2003年4月 入社
軽快なフットワークで日本全国を渡り歩き、若さの中に貫禄を見せ始める。
持ち前の熱いハートとトークで、老若男女を惹きつける保健リーダー。
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第67回 保健衛生事業に関連する民主党の政策について |
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