女性特有のがん検診対策事業について - 2009年12月28日公開
少し前の話になりますが、2009年9月29日に開かれた厚生労働省の主催する薬事・食品衛生審議会の薬事分科会において、
グラクソ・スミスクライン(GSK)社の子宮頸がん予防ワクチン「サーバリックス」が承認されました。
これは子宮頸がんの原因ウイルスとなるHPV(ヒトパピローマウイルス)を接種し、免疫を作ることでウイルス感染を防ぎ、子宮頸がんを予防することを目的としたワクチンです。
HPVには様々な型がありますが、日本の子宮頸がんのうち6~7割を占めるHPV16型、HPV18型を接種する形になります。
先日、2009年12月22日にこのワクチンが発売されましたが、これは半年に3回接種する必要があり、現時点では自由診療のため全額自己負担となります。
ただし、同じく自由診療扱いの肺炎球菌について、一部公費負担を行う市区町村が増加傾向にありますし、民主党のマニフェストにも
乳がんや子宮頸がんの予防・検診を受けやすい体制の整備などにより、がん検診受診率を引き上げる
子宮頸がんに関するワクチンの任意接種を促進する
化学療法専門医・放射線治療専門医・病理医などを養成する
という記載がありますので、将来的には公費負担が実施される可能性もあるのではないでしょうか。
対象年齢が比較的低いことが若干ネックになるかもしれませんが、現時点で”がん”を予防できる唯一のワクチンですので、注目度は非常に高いと考えています。
そのような中、2009年12月2日に第11回がん対策推進協議会が開催されました。
今回の内容は予算要求に対する説明が主でしたが、1時間も延長するほど活発な議論がなされたようです。
個人的に注目しているのは、女性特有のがん検診推進事業が予算として正式に計上されていることです。
これは今年度補正予算(216億円)で急遽組み込まれた単年度事業ですが、平成22年度においても継続されることがほぼ確定したとみなしてもよいと思われます。
ただし、事務費の補助率が1/2に削減されていることに注意が必要です。
当然、各市区町村の予算要求時期も終わっている状況ですので、補正予算を組む必要がある市区町村も少なからず出てくるでしょう。
一方、同協議会で報告された資料によれば、今年度女性特有のがん検診が未実施だった市区町村も27団体あります。
主な未実施理由としては
単年度事業のため、一部住民しか対象とならず、不公平感が強く生まれる
既に無料で実施している
既に検診が終了している
当事業の対象者に偶数年齢と奇数年齢が入っていることから、市区町村で行っている隔年実施と整合性がとれず、混乱が生じる恐れがある
といった内容が挙げられました。
この辺りの理由は、各市区町村の担当者様であれば思い当たる節があるのではないでしょうか?
そもそも、乳・子宮がん検診は厚生労働省より隔年実施することが推奨されています。
つまり女性特有のがん検診推進事業が謳う5歳刻みでの実施とは根本的に相容れない関係にあります。
今回、同事業が継続となるに当たり、この整合性を見直す可能性は低いと思われますが、今年度事業と何が変わるのか、それとも変わらないのか、非常に気になるところです。
制度そのものは、がんの早期発見に繋がる良いものなので、出来れば現場の運用を考慮して頂きたいものです。
最後になりますが、政権交代の影響もあり、今後もがん対策は様々な変革があるだろうと予想されます。
今まで以上に、がん対策関連についてはアンテナを張り、情報収集に努めなければならないでしょう。
今後も保健分野の関係者様へ情報発信を続けていきますので、平成23年も引き続き当コラムのご愛読お願い申し上げます。
- 担当
- 小畑 宏一郎
- 役職
- ヘルスプロモーショングループ 係長
1999年4月 入社
保健の業務知識はもちろん、システムの技術面においても厚い信頼を寄せられる。
明るくパワフルで、困っている人を放っておけない兄貴肌のリーダ。
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