睡眠公衆衛生について - 2011年09月12日公開
働くみなさん、毎日十分な睡眠を取っていますか。
近年、睡眠問題と肥満、高血圧、糖尿病などの生活習慣病の関係が明らかにされ、睡眠とさまざまな健康問題との関係は「睡眠公衆衛生」として注目を集めています。
また、睡眠の問題は「うつ」や「自殺」と関連付けられて語られることも多くなり、つい最近「保健師ジャーナル」2011年07月号(医学書院)でも特集が組まれました。
今回はそんな「睡眠」に焦点を当ててお話をしたいと思います。
健やかな睡眠を確保することを通じて、広く公衆衛生の向上に取り組む医学・医療活動を「睡眠公衆衛生」と呼びます。
睡眠不足や夜型生活などの不適切な睡眠習慣に加え、不眠症や睡眠時無呼吸症候群などのさまざまな睡眠障害に対して適切な予防活動を行い、人々の健康増進に寄与するといった考え方です。
不適切な食事習慣や運動不足、喫煙や過度の飲酒が健康を害することは広く知られていますが、睡眠についても同様に健康を害する大きな要因となります。
近年では、「21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)」といった国の政策によって、適切な睡眠・十分な休養を得ている国民を増やすことが目標とされています。
しかし、仕事や余暇を楽しむことに夢中になり、睡眠時間を削る方も多いはずです。適度な運動、適切な食事すらままならない方が多くいる中で、適切な睡眠を取ることは簡単なことではないかもしれません。
ところで、みなさんは1日に何時間くらい寝ていますか。
国内外で様々な研究が行われており、諸説ありますが、1日の適切な睡眠時間は約7~8時間であるとよく耳にします。しかし、多忙な社会人であれば平日に7~8時間の睡眠時間を確保することはなかなか難しいものです。
OECD(経済協力開発機構)が2009年5月に発表した報告書 OECD (2009), Society at a Glance - OECD Social Indicators によると、OECD加盟18か国の平均睡眠時間が502分の中、日本は470分で、韓国に次いで調査国中二番目に少ないことが分かりました。ちなみに最も睡眠時間が長い国はフランスで530分だそうです。
多くの日本人にとって短い睡眠時間は当たり前になりつつありますが、睡眠不足になるとどの様な影響があるのでしょうか。
例えば、厚生労働省の提供する一般向け健康情報提供サイト「
e-ヘルスネット」には、「健やかな睡眠と休養」「睡眠と健康」に関する専門家の記事が紹介されています。
こちらのサイトでは、「質の悪い睡眠は生活習慣病の罹患リスクを高める」といった気になる記事を読むことができます。
他にも一般的に知られている身近な症状として、睡眠不足はにきび・肌荒れを引き起こすといわれています。特に女性の方は気にしていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。
なお、睡眠不足による仕事への影響としては、経験のある方もいらっしゃると思いますが、眠気による集中力の欠如が挙げられます。これは仕事の生産性の低下を招くだけでなく、慎重を要する作業等においては安全性を損なうことにもつながりかねません。
体に良くないと分かっていてもなかなか解消することのできない睡眠不足は、私たちの健康を少しずつですが確実に蝕んでいると考えられます。
毎日を忙しく働く私たち日本人は、睡眠時間を確保したくてもなかなか確保できないものです。だからこそ、質の高い睡眠を取ることが重要となります。
生活習慣病対策への関心が近年急速に高まりつつあるなか、睡眠公衆衛生への注目も今後一層高まっていくのではないでしょうか。
また、2011年7月に厚生労働省が重点的に取り組む医療対策として、がん・脳卒中・心筋梗塞・糖尿病の「4大疾病」に精神疾患を加えて「5大疾病」とする方針を打ち出したことは記憶に新しいかと思います。
冒頭でも軽く触れたように、睡眠公衆衛生と精神疾患との関連性は小さくはありません。精神疾患予防対策として睡眠公衆衛生に関する事業が広く保健師活動に取り入れられる日が来るかもしれません。
忙しい日々の中でついつい睡眠時間を削ってしまいがちですが、睡眠は誰もが一生付き合っていくものです。短い時間の中でも適切な睡眠を取り、自分自身も日々を健康的に過ごしていきたいと思います。
- 担当
- 鈴木 良太
- 役職
- ヘルスプロモーショングループ
2009年4月 入社
若手ながら、礼儀正しさと仕事への情熱では他者の追随を許さない。
何事にも常に全力で取り組む、ヘルスプロモーショングループのエース候補。
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