母子健康手帳について - 2012年01月30日公開

母子健康手帳について
母子健康手帳には様々な情報が記載されています。
これらの情報のうち、乳幼児身体発育曲線は「乳幼児身体発育調査」の結果より作成されていますが、乳幼児身体発育調査は10年に一度改訂が行われています。
この乳幼児身体発育調査の改訂や母子保健をめぐる社会や制度等の変化を踏まえて、母子健康手帳は概ね10年ごとに様式の改正が行われています。

平成22年がちょうど乳幼児身体発育調査の改訂年に当たったことに加え、高齢出産や子育て環境の変化、虐待の増加等、社会状況のめまぐるしい変化を踏まえ平成23年に「母子健康手帳に関する検討会」が計3回開催されました。
今後の母子健康手帳のあり方について議論がなされ、改正を要する点が取りまとめられ、「母子保健の一部を改正する省令」として平成23年12月28日に公布されました。
本省令は平成24年4月1日より施行されます。つまり、平成24年4月1日に交付される母子健康手帳から内容が変わることになります。
今回のコラムでは主な変更点をいくつかご紹介します。

1.妊娠期の記載欄の拡充

日常生活でのストレス、受動喫煙についての記載欄が追加されました。
HTLV-1抗体検査や性器クラミジア検査といった感染症検査についても近年公費負担対象の検査に追加されたため、実施の有無を記録できるように記載欄が追加されました。
【背景】
ストレスや受動喫煙については、低出生体重児や虐待の増加を受けて追加されました。妊娠期からこういった問題の因子を把握・指導することにより、問題を未然に防ぐことに繋がると期待されます。

2.乳幼児期の記載欄の変更

乳幼児の成長発達確認項目について、予め達成時期が記載されている回答欄がなくなります。(「はい・いいえ」等の回答形式から達成時期を記載する形式等へ変更)
また、先天性代謝異常検査の記載欄や新生児訪問指導等の記録欄も設置されています。
【背景】
成長発達確認項目は回答形式であれば情報としては正確なものになりますが、発達の遅れが見られる子どもをもつ保護者にとって心理的負担になるといった問題があったため、改正が行われています。

3.便色カードの導入

便色カラーカードが綴じ込まれることとなりました。便色に関するより分かりやすい情報を提供し、便色異常を呈する疾患の早期発見を目的としています。
【背景】
胆道閉鎖症等、生後1か月頃に便色異常が見られる疾患は、早期発見・早期治療が重要となります。しかし、改正前は1か月児の保護者ページに便色に関する記載があるものの、「便の色がうすい黄色、クリーム色・・・」など文章のみの記載であり、実際のイメージが難しい状態でした。
視覚的に色が分かるカラーカードを使用することで、胆道閉鎖症等の早期発見の補助手段として有効であるという報告もあり、効果が期待されています。

4.乳幼児身体発育曲線の改訂

「乳児身体発育曲線」「幼児身体発育曲線」「頭囲の乳幼児身体発育曲線」「幼児の身長体重曲線」が平成22年の調査結果に基づいた内容に改訂されました。
また、任意記載の中で、身長と体重について18歳までの成長曲線が盛り込まれています。母子健康手帳を乳幼児期までの健康記録にとどめるのではなく、長く活用してほしいという願いが込められているといえます。

5.予防接種記載欄の充実

定期接種欄と任意接種欄を一連の様式とし、任意接種欄については、ワクチン種類別の記載枠が設けられました。
また、ページ配置についても、定期接種(省令による記載)と任意接種(任意記載)を並べて配置し、使いやすいように変更されました。
【背景】
改正前の任意接種欄にはワクチン名の記載がなく、空欄に随時記載するようになっていましたが、公費負担で接種できる任意接種ワクチンの増加に伴い、正確な記録ができるよう改正されました。


今回の改正により、主たる記載者である「保護者」と「保健医療関係者(保健師、医師、助産師等)」の双方にとってより使いやすく分かりやすい母子健康手帳になると考えられます。
使い勝手が向上することで母親をはじめとする保護者は情報を提供しやすくなり、保健医療関係者は今まで把握できなかった情報を把握できるようになるといった相乗効果も期待できるのではないでしょうか。

母子健康手帳の改正はもちろん素晴らしいことですが、実際に活用されなければ改正の意味がなくなってしまいます。
まずは母親が妊婦健診をきちんと受診し、受診結果や該当項目を正確に記録する等、改正前から求められていたことを一つずつ着実にこなしてもらうことが重要であると考えます。

「母子健康手帳に関する検討会」では、「母子健康手帳の名称を親子健康手帳に変更してはどうか」「就学以降の予防接種記録を正式な予防接種証明に代えられないか」など、今回の改正には盛り込まれない様々な議論や提案がなされました。
母子保健行政のさらなる向上のため、今後も継続的に有識者による議論の場が設けられることを希望します。


担当
岩谷 紗也子
役職
ヘルスプロモーショングループ

2008年4月 入社
主にユーザサポートを担当し、めきめきと頭角を現している。
丁寧な仕事に定評のある若手メンバ。

最初 | | 一覧 | | 最後