医療費削減について~お薬手帳や薬局でできること~ - 2015年12月28日公開

医療費削減について~お薬手帳や薬局でできること~
厚生労働省発表の「平成25年度 国民医療費の概況」によると、国の医療費は40兆610億円にものぼり、人口一人当たりに換算すると31万4,700円の計算となります。日本の医療費は年々増加を続けており、平成15年から平成25年の10年間を見ると、約10兆円も増加しています。医療費というと、病院や歯医者で通院・入院したときにかかる費用(医科診療や歯科診療にかかる診療費・入院時の食事・生活医療費)をイメージするかもしれませんが、薬剤費も医療費に分類されます。薬剤費も年々増加傾向にあり、平成25年度には医療費の17.8%を占める約7兆円にも膨れ上がりました。これは、医療技術の開発や少子高齢化が原因となっています。

少子高齢化が進む中、医療費が増加することはある程度仕方ないようにも思えますが、「薬剤費」について着目すると、以下のような問題点が挙げられます。

■薬を無駄にしてしまう
処方された薬を飲みきらずに、処分した経験があるという方もいるのではないでしょうか。厚生労働省の調査では、「医薬品が余ったことがある患者」が約5割いるとされています。また、飲み忘れや病院受診の間隔によって余った薬のことを「残薬」といいますが、日本薬剤師会の推計によると、75歳以上の患者に絞った場合の残薬の年総額は475億円にものぼるとされています。

■薬剤自体の価格が高い
薬は300億~1000億円もの研究開発費用を費やして開発されるため、薬の価格はそれらのコストを含めて設定されています。

これらの解決に繋がるのが「お薬手帳」です。「お薬手帳」は、医療機関で処方された薬の種類や服用履歴、アレルギーなど、医療関係者に必要な情報を記載する小型の手帳です。「お薬手帳」の情報によって、副作用を避けるだけでなく、適切な薬を効率よく購入することができます。例えば、後発医薬品(ジェネリック医薬品)(※1)の希望シールをお薬手帳に貼ったり、「お薬手帳」を記載してもらうときに説明を受けたりすることで後発医薬品の普及、さらには医療費の削減に繋がります。他にも、薬局で記載してもらうだけでなく、自分で服薬履歴を残すことで残薬を管理すれば、余分に薬を購入せずに済みます。

「お薬手帳」が活用されるように、平成24年度には
 (1)薬剤情報提供文書の提供と説明
 (2)服用歴の記録と指導
 (3)残薬確認
 (4)後発医薬品に関する情報提供
 (5)お薬手帳の記載
これら全てを薬局が患者に行った場合、「薬剤服用歴管理指導料」410円が支払われる制度となりました。これにより、「お薬手帳」による情報提供は広まりましたが、一方で「薬の説明がないまま、お薬手帳用のシールが入っていた」「後発医薬品の説明がなかった」といった、診療報酬を得るために形だけ実施する薬局があると指摘され始めたそうです。平成26年度から、必ずしも「お薬手帳」が必要ではない患者の場合の「薬剤服用歴管理指導料」が340円に引き下げられると、今度は、自己負担減額の観点から「お薬手帳」の記載を断る患者が出てくるようになったと言われています。このように、薬局に求められる機能が発揮されていない部分があるため、薬局の診療報酬やサービスの在り方の見直しが行われています。(関連:第134回コラム 医薬分業の規制緩和について)平成28年度の診療報酬改定では、患者の服薬状況を一元管理化を促すよう、「かかりつけ薬局」での窓口負担を引き下げることで、医療費全体の負担も引き下げる方針を固めました。


在り方の見直しや診療報酬改定は「医療の質を高める」ことを目的に行われます。「お薬手帳」や薬局が活用・機能することによって、残薬等の問題も改善、結果的に医療費の削減にも繋がっていくのではないかと思います。私たちも受け身ではなく、「お薬手帳」には記録をきちんとつけて携帯したり、薬局に行ったら処方前に残薬や後発医薬品についての情報連携・提供などを積極的に行うことで、貢献できるのではないでしょうか。



※1
後発医薬品は、特許期間の切れた先発医薬品(新薬)と同じ有効成分で作成されるため、研究開発費用が抑えられることから、薬自体の質は変わらないにもかかわらず、価格が安価です。そのため、患者負担の軽減や医療保険財政の改善に繋がると考えられていますが、日本では普及が進んでいません。こうした現状を受けて、厚生労働省では後発医薬品の使用促進を行っており、「保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則」においても、処方せんを発行した保険医等が後発医薬品への変更を認めている時は後発医薬品に関する説明を行わなければならない、調剤するよう努めなければならない、とされています。
参考:厚生労働省 後発医薬品(ジェネリック医薬品)の使用促進について




担当
関口 美喜子

2013年10月 入社
システム導入などを通して、日々スキルと知識に磨きをかけている。
積極的に様々なことに挑戦し、伝説ともいわれる痕跡を残している。

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