「治療と仕事の両立支援」について - 2016年08月31日公開

「治療と仕事の両立支援」について
平成28年2月23日、「事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン」(以下:ガイドライン)が厚生労働省から公表されました。このガイドラインは、がん、脳卒中、心疾患、糖尿病、肝炎など反復・継続して治療が必要な疾病を抱える労働者に対して、適切な就業上の措置や治療に対する配慮が行われるよう、事業場における取組をまとめたものです。

○「ガイドライン」作成の背景
医療技術の進歩などにより、昔は「不治の病」とされていたがんなどの疾病も生存率が向上し、「長く付き合う病気」に変化しつつあります。しかし、仕事上の理由で適切な治療を受けることができないケースや、疾病に対する労働者自身あるいは職場の不十分な理解・支援体制不足により離職に至ってしまうケースもみられます。一方で、支援方法等について事業場が悩むケースも少なくないため「事業場が参考にできるガイドライン」が作成されることとなりました。

○「ガイドライン」の概要
まず、治療と仕事の両立支援実施前に取り組むことが望ましい準備事項として、以下の内容が挙げられています。
<治療と職業生活の両立支援を行うための環境整備>
 ○ 労働者や管理職に対する研修などによる意識啓発
 ○ 労働者が安心して相談・申出を行える相談窓口を明確化
 ○ 時間単位の休暇制度、時差出勤制度などを検討・導入
 ○ 主治医に対して業務内容などを提供するための様式や主治医から意見を求めるための様式整備
 ○ 事業場ごとの衛生委員会等における調査審議
例えば、休暇制度や勤務制度などの検討・導入では、傷病休暇、時差出勤制度、短時間勤務制度、在宅勤務、試し出勤制度などが挙げられます。事業者が正社員の短時間勤務を認めることで復職しやすくなり、労働者が安心して働くことが可能になると考えられます。

治療と仕事の両立支援は、大きく分けると以下の3つのステップで進められます。
 (1) 労働者が事業者に支援を求める申出(主治医による配慮事項などに関する意見書を提出)
 (2) 事業者が必要な措置や配慮について産業医などから意見を聴取
 (3)事業者が就業上の措置などを決定・実施(「両立支援プラン」の作成が望ましい)
両立支援は、疾病を抱える労働者本人から事業者に支援を求める申し出があってから実施されることが望ましいとされています。そのため、事業者は申出が円滑に行われるよう、制度の整備や周知などを行っておく必要があります。

○治療と仕事の両立に向けた課題
ガイドラインの存在は治療と仕事の両立において大きな効果を発揮すると考えられますが、それだけでは十分とは言えません。中小企業200社の経営者を対象とした調査で、約6割の経営者ががん治療と仕事の両立に否定的な意見を持つとの結果もあるそうです。周囲が疾病への理解を深めるのはもちろんですが、中小企業ができる支援には限界もあると考えられるため、法制度などによる支援を充実させることが課題であると考えられます。


以前、子宮頸がん経験者の方の体験事例を基にした話を聞く機会がありました。治療と仕事を両立する際の苦労などを聞き、決して他人事ではなく、自分にも何かできることがあるはずだと感じたことを覚えています。治療と仕事の両立を目指す仲間に対し、何か特別な支援をするばかりではなく、日々のほんの小さな思いやりがきっと大きな支えになるはずです。制度の充実と合わせて、私たちもできることを考え実践していければと思います。



担当
鈴木 良太

2009年4月 入社
礼儀正しさと仕事への情熱では他者の追随を許さない。
何事にも常に全力で取り組む、ヘルスプロモーショングループのエース。

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