特定健診の第3期に向けた見直しについて - 2017年05月08日公開

特定健診の第3期に向けた見直しについて
平成20年度から開始された特定健診・特定保健指導は、これまで5年を1期とし、制度や運用の見直しを行うとしてきました。(※1)
平成25年度には第2期が開始となり、制度が一度見直されました。(関連:第98回 平成25年度以降に実施される特定健診におけるHbA1c結果の取扱いについて

平成30年度からは第3期開始となるため、平成28年1月から約1年間、国の検討会にて第3期に向けた検討が行われました。第3期ではどのような変更が行われるのでしょうか。変更点の一部を紹介します。

(1)血中脂質検査
血中脂質検査の一つであるLDLコレステロールについて、科学的知見の整理を踏まえてnon-HDLコレステロールを用いた評価も可能となります。

(2)血糖検査
血糖検査では、空腹時血糖またはHbA1c(NGSP値)が検査項目として認められていました。第3期でもこの原則は変わりませんが、随時血糖を検査項目に新たに位置づけることが受診率向上にも有効との意見があったことから、やむを得ない場合、条件を満たせば随時血糖による検査が可能となります。(※2)

(3)血清クレアチニン検査
血清クレアチニン検査はこれまで健診項目には位置付けられていませんでしたが、分かりやすい腎機能の評価であることから、特定健診で実施すべきという意見があげられていました。尿蛋白検査でも一定の腎機能を評価できる、検査者の負担が増えることなどから、血清クレアチニン検査は詳細な健診項目に追加し、医師が必要と認める者が検査対象者となります。

(4)特定保健指導の実績評価までの期間
特定保健指導の実績評価は初回面接日から6ヶ月以上経過後に行うこととされていましたが、最低基準が3ヶ月経過後となります(必要に応じて6ヶ月での評価も可能)。これは、限られた人員でより多くの対象者に特定保健指導を実施できるようにすることを優先するため、また、特定保健指導による体重変化が大きいのは3ヶ月後まで(3~6ヶ月はリバウンド防止の観点が重要)という報告があることを踏まえての変更です。

(5)2年連続積極的支援該当者の2年目の指導
2年連続して積極的支援に該当した者のうち、1年目に比べて状態が改善している(※3)かつ1年目の積極的支援を終了している者については、2年目は動機付け支援相当(継続的な支援は180ポイント未満)の介入でも効果が期待できるため、特定保健指導を実施したとみなすことができるようになります。


これらの変更には、特定健診受診率・特定保健指導実施率の向上も目的としているものがあります。国は、制度開始時から特定健診受診率70%以上、特定保健指導実施率45%以上を全国目標としています。しかし、平成20年度の特定健診受診率は38.9%、特定保健指導実施率は7.7%ととても低い値となっていました。その後は上昇を続け、平成26年度には特定健診実施率48.6%と特定保健指導実施率17.8%と10%も上昇しましたが、まだ目標とは大きく差がある状態です。
例えば、特定保健指導の実績評価期間の見直しは、6ヶ月という長期間のために起きてしまっていた途中脱落(保険者の変更など)も防ぐことができ、実施率向上に繋がると考えられています。

一方、特定健診と他の健診は、特定健診で行わなければならない項目が全て含まれている人間ドックは特定健診の実施に替えられる、事業主健診など他の法令の健診のほうが特定健診より優先されるという関係にあります。国の制度外では、実施団体の違いで判定基準や検査項目、検査方法が異なるといった課題が以前から指摘されていました。これらの基準を特定健診の第3期を見据えて、統一しようという動きも出てきています。


見直し、統一化を図ることでよりよい制度や医療進歩のきっかけとなること、また、健診の対象者ひとりでも多くが自分の健康に興味を持ち、見つめなおすきっかけになることに繋がっていくことを期待します。



※1)平成27年5月の医療保険制度改革により、第3期以降は6年を1期とする。
※2)階層化判定における血糖検査の優先順位は、①空腹時血糖(食後10時間以上)、②HbA1c(食後時間は関係なし)、③随時血糖(食後3.5時間以上10時間未満)となる。つまり、空腹時血糖は測定できないがHbA1cが測定できる場合はHbA1cを測定、空腹時血糖もHbA1cも測定できない場合は随時血糖の測定が可能となる。
※3)状態が改善しているかは、以下で評価をする。
BMI<30 腹囲1.0㎝以上かつ体重1.0㎏以上減少している者
BMI≧30 腹囲2.0㎝以上かつ体重2.0㎏以上減少している者




担当
岩谷 紗也子

2008年4月 入社
主にユーザサポートを担当するメンバ。
その経験を生かし、パッケージ開発にも携わっている。

最初 | | 一覧 | | 最後