減塩による高血圧の予防について - 2017年07月21日公開

減塩による高血圧の予防について
日本高血圧学会は、5月17日を「高血圧の日」として、高血圧の啓発活動を行っています。更に平成29年4月には毎月17日を「減塩の日」とすることを新たに発表しました。「減塩の日」にあわせてイベント等を実施してもらうことにより、高血圧患者だけではなく国民レベルで減塩に対する意識が高まることが期待されています。そもそも、なぜ減塩が高血圧の予防に繋がるのでしょうか。

塩分(ナトリウム)の濃度が過剰になると、血管内の濃度を薄めようと水分が移動し血液の量が増えます。その結果、血管の壁にかかる圧力が増大し、慢性化すると高血圧になると考えられています。(※1)高血圧は「サイレント・キラー」とも呼ばれ、自覚症状の無いまま進行します。高血圧が進行すると、血管が多く集まっている脳や心臓、腎臓、目の網膜などに影響を及ぼし、脳梗塞や脳出血、心筋梗塞、腎不全、眼底出血といった重大な病気を引き起こします。しかし、自覚症状がないため、高血圧だと分かっても治療せず放置している人も少なくないと言われ、日本には約4,300万人の高血圧患者がいるとの試算に対して、「患者調査」によれば、高血圧性疾患の総患者数(※2)は約1,010万人となっています。また、「日本人の食事摂取基準」の成人1日あたりの塩分摂取量の目標量は、男性8g、女性7gであるのに対し、平成27年の「国民健康・栄養調査」によると、日本人の1日あたりの平均塩分摂取量は、年々減少しているものの、男性11.0g、女性9.2gとまだ目標量を上回っています。

冬、雪深い地域では、特に塩辛い食べ物が多く運動も不足しがちということもあり、脳卒中死亡率が高い傾向にありましたが、「減塩運動」が推進され、改善したという事例もあります。
■長野県
昭和55年ごろまで脳卒中死亡率が高い状態が続いていましたが、対策のために食生活実態調査を始めました。調査の結果、「塩分摂取量が多い」ということが分かったため、「県民減塩運動」を開始します。「県民減塩運動」では、厚生労働省の指定する研修を終えた「食生活改善推進員」が各家庭を回り減塩指導するなど、自治体が積極的に運動を推進したことで、県民の1日の塩分摂取量は基準値に近づき、脳卒中死亡率を下げることに成功しました。2013年、厚生労働省が発表した「都道府県別生命表(2010年)」では男女共に平均寿命1位となりました。
■新潟県
平成21年度から「にいがた減塩ルネサンス運動」を推進しています。「にいがた減塩ルネサンス運動」とは、脳卒中死亡率が高く、食塩摂取量も国の目標量以上であったことなどから、塩に着目し、食塩摂取量の減少と野菜・果物の摂取量の増加(※3)を目標に、自治体が推進している県民運動です。この運動は、「第11回日本心臓財団小林太刀夫賞」や「第4回健康寿命をのばそうアワード」を受賞するなど、健康への取組として高く評価されています。


このように、減塩運動を実施することで、一人ひとりが塩分摂取量を意識するようになれば、高血圧による重大な病気を予防することに繋がることが期待できます。しかし、塩は細胞を正常に保つ、神経や筋肉の働きを調整するなどの重要な働きがある必須のミネラルです。熱中症対策で、水分とあわせて塩分を摂ることが勧められているように、著しく不足した状態は身体に悪影響を及ぼします。極端に減塩するのではなく、適正な塩分摂取を心がけることが大切です。




※1)肥満やストレス、薬の副作用等、塩分以外の原因により血圧が上がっている場合もある。
そのケースでは、運動等、原因に適した他の改善方法が必要である。

※2)総患者数とは、医療機関で治療を受けている人数を指す。
なお、「患者調査」とは厚生労働省が3年ごとに行っている調査で、現時点で最新のデータは平成26年調査のものとなる。

※3)野菜の摂取によりカリウムの摂取量を増やすことを目的としている。
長野県においても野菜摂取を促進する取組が行われており、野菜摂取量は全国1位とされる。
カリウムには余分なナトリウムを排泄する機能があり、現代では不足がちとも言われる。




担当
吉田 夏子

2016年4月 入社
システム導入に活躍するメンバ。
やわらかくも明るい笑顔と性格は、周囲も明るくする。

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