薬剤耐性(AMR)について - 2017年12月04日公開

薬剤耐性(AMR)について
寒さも増し、風邪やインフルエンザという言葉が聞こえてくるようになりました。これから、薬に頼る機会がある方もいるかと思いますが、医薬品は、よく「用量・用法を守って正しくお使いください」などと言われます。当然守っている、と言われるかもしれませんが、「よくならないからもう1錠飲んだ」「一週間飲み続けるように言われたけど、よくなったから薬はもう飲んでない」というようなことを聞いたり、やったりしたことはないでしょうか。多量服用をすると、中毒といった副作用を引き起こすことはイメージできるかと思います。だからといって、必要量に足りていないなど、適切に使用されないと、本来有効である薬剤に対する耐性を持ったウイルス(薬剤耐性菌)が発生する可能性があります。

薬剤耐性菌は国際社会でも課題とされています(※1)。2015年5月の世界保健総会では、薬剤耐性(AMR)に関するグローバル・アクション・プランが採択、加盟各国は2年以内に薬剤耐性に関する国家行動計画を策定することを求められました。日本でも2016年4月5日に「薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン」が決定され、発生動向調査や普及啓発活動など、アクションプランの推進が行われており、平成30年度厚生労働省予算概算要求では、「薬剤耐性対策の推進」として8億円の予算が計上されています。

身近な病気では、インフルエンザや結核(※2)で薬剤耐性菌が確認されています。どちらにも共通して言えることは、症状はすぐに改善しても菌が死滅するには時間がかかる点です。インフルエンザに罹ったとき、症状は改善していても、外出を控えるように言われたことがあるという人もいるかと思います。


インフルエンザでの薬剤耐性菌の発生率は1~4%で、病原性も変わらないと言われていることから、幸いにも、一般的には身近なことではないかもしれません。しかし、生物は徐々に進化します。医薬品を正しく使用することは、その時の自分や周囲の人の健康を守るだけではなく、 将来の自分以外の健康にも繋がるのではないでしょうか。
また、抗菌薬が処方される際には、必ず飲み切るように今でも添えられていると思いますが、ウイルスがしばらく残っている可能性があることや薬剤耐性菌のリスクなど、「なぜ飲み切らないといけないのか」もきちんと伝えることで、薬を飲み切る意識づけの向上や薬剤耐性菌の普及啓発といった効果が、少なからず得られるのではないでしょうか。




※1)薬剤耐性菌が増加する一方、先進国における主な死因が非感染症疾患へと変わるにつれて、抗菌薬の開発は減少しているという状況がある。

※2)結核においては、多剤耐性結核として昔から課題視されており、治療法(DOTS)の開発と推進がされている。
(参考:第141回 結核治療のしくみ ~DOTSとコホート分析~




担当
岩谷 紗也子

2008年4月 入社
主にユーザサポートを担当するメンバ。
その経験を生かし、パッケージ開発にも携わっている。

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