保健分野におけるAI技術利活用 - 2018年03月13日公開

保健分野におけるAI技術利活用
社会保障費の増大や人口減少等の課題解決に向け、国民の健康寿命を延伸させるための効果的で効率的な保健指導として「データヘルス計画」が注目されている中、近年注目を集めている「人工知能(Artificial Intelligence:AI)」の技術発展に伴い、保健分野でもAIの需要が高まっていくことが予想されます。国としても最先端技術を取り入れるための検討を実施しており、平成29年1月には、厚生労働省主催の「保健医療分野におけるAI活用推進懇談会」が実施されました。

AIとは、人間の知的能力をコンピューターによって実現する技術ですが、「機械学習」や「ディープラーニング(深層学習)」といった学習技術によって、さらなる発展が見込まれています。これらの技術を用いることで、大量のデータからあらゆるパターンを認識させ、様々な難しいタスクをこなせるようにコンピューターを学習させることができます。例えば、がん転移を判定するためのAIでは、がんの転移のある部分に印をつけた「正解」の膨大なパタンデータを何度も読み込ませたそうです。アメリカ医師会雑誌に掲載された論文では、乳がんの転移を判定するAIが医師の成績を上回ったとされています。

膨大なデータが飛び交う昨今、ビッグデータの考え方が普及し、様々な分野でこれらの情報を有益に利活用する方法が検討されています。保健分野も例外ではありません。「保健医療分野におけるAI活用推進懇談会」では、AIとビッグデータの利活用が想定される領域とメリットとして、以下の例を挙げています。
 ・高精度な予測による、発症前の疾患探知、予防治療
 ・健診等で生じる膨大な画像データを用いた読影診断
一方で、データヘルス計画を推進するにあたっては、分析等に高度なICTリテラシーが必要となり、自治体の職員だけでは事業推進が滞ってしまうことなどが課題として挙げられています。そこで、国立研究開発法人日本医療研究開発機構では「AIを活用した保健指導システム研究推進事業」にてAI技術を活用した研究開発を推進することで、データヘルスに関する課題解決、ひいては国民の健康増進を目指しています。


しかしながら、全ての判断をAIに頼ることは難しいでしょう。
がんの転移を判定するAIのように、そもそも学習に人間の判断したデータが必要であったり、例外的なケースなど、AIで正しく判断できない可能性があるからです。また、国民皆保険制度を持つ日本では膨大な保健医療データが蓄積されていますが、利活用しやすく整備する必要があるとも言われています。
日々発展していく技術を国を挙げて医療や保健分野でも適切に利用してこそ、国民の健康寿命の延伸を実現できるのではないでしょうか。




担当
関口 美喜子

2013年10月 入社
システム導入などを通して、日々スキルと知識に磨きをかけている。
積極的に様々なことに挑戦し、伝説ともいわれる痕跡を残している。

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