食肉を原因とする食中毒について - 2011年06月27日公開

食肉を原因とする食中毒について
平成23年4月に富山県や福井県で生食肉の喫食による大規模な食中毒事件が発生したことにより、あらためて生食肉の危険性が問われることとなりました。
厚生労働省が毎年実施している食中毒統計調査によると、日本の食中毒発生件数は年々減少傾向にありますが、食肉(肉類及びその加工品)の食中毒発生件数にはあまり減少が見られません。
なぜそのようなことが起きているのでしょうか。以下に考えられる原因を3点挙げたいと思います。

1.汚染のない食肉を製造することが困難
日本では食肉として市販可能な動物種が法律で規定されており、さらにそれらの動物一頭ごとに疾病の有無の検査を行い、安全な食肉の流通に努めています。
しかし、健康な動物でも腸管内や肝臓などの内臓に病原菌を保有するものはいるそうで、例えばO157やO111等で知られる腸管出血性大腸菌は、保菌する動物自身にとっては無害でも、人間が摂取すると大変な食中毒を引き起こすことが知られています。なお、家庭や飲食店で広く喫食される牛は腸管出血性大腸菌を高い確率で保菌していると言われています。
この例だけでも、生食肉の喫食による感染はもちろんのこと、生食肉を取り扱ったものと同一の食器・調理器材を介した感染の危険性が示唆されます。

2.食肉の不十分な加熱
食肉を加熱しても、中心部まで十分に火が通らなければ病原菌が死滅せずに残ってしまいます。カンピロバクターや腸管出血性大腸菌は少量の菌数でも感染する可能性が高いため、加熱不十分な食肉は大変危険だと言えます。
ちなみに食肉の加熱時間は75℃で1分間以上が目安だそうです。

3.飲食店や食肉処理業者の不適切な衛生管理
冒頭で取り上げた食中毒事件では、飲食店や食肉処理業者がトリミング(表面の細菌汚染を取り除くため、筋膜、スジ等表面を削り取る行為)を正しく行わなかったことが主要な原因の一つであると報道されました。
厚生労働省は当事件を受けて、平成23年5月5日に生食用食肉を取り扱う施設に対する緊急監視の実施を各都道府県あてに通知しました。
その結果が平成23年6月14日に発表されましたが、衛生基準通知に適合している施設が10,405 施設(52.4%)であり、飲食店営業は7,086 施設(48.2%)、食肉処理業は438 施設(65.0%)、食肉販売業は2,881施設(64.4%)とのことで、実に半数近くの施設が不適という残念な結果になっています。
今回不適となった施設の改善状況はもちろんですが、適合した施設に関しても衛生基準の遵守を確認するため、今後も継続的な監視・指導の実施が望まれるのではないでしょうか。

実は私自身も3年前に、飲食店での食肉を原因とする食中毒で1週間入院しました。入院中は肉なんて2度と食べたくないと思いましたが、結局我慢できずに食べています。
今では日本人の食生活にすっかり根付いている食肉だからこそ、喫食者や取扱者は調理等に十分注意し、食中毒を予防しながら豊かな食生活を送りたいものです。


担当
土斐崎 将範
役職
ヘルスプロモーショングループ

2008年4月 入社
数多くのシステム開発を任される有望若手メンバ。
爽やかな笑顔で好感度ナンバーワンの呼び声が高い。

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